日体大SMG横浜 オフィシャルサポーターズクラブ

一年前のインタビュー

先月、日体大FIELDS横浜で2018シーズンの指揮をとった小嶺栄ニさんが永眠されました。松原渓さんが記事を書いてくださった こともあり、SNSでも多くの方々が小嶺さんの死を悼むコメントを残しています。

私が小嶺さんとお話する機会はほとんどありませんでしたが、 2018シーズンの1部残留を決めた後、シーズンを振り返るインタビューをさせてもらいました。その時の話を綴ってみたいと思います。


小嶺さんの監督就任は2018シーズンの開始1カ月前。最初の苦労は、選手の名前を覚えることだったそうです。「名前を間違えて選手に怒られました。試合中の呼び名で呼ばないと『プーン』ってされるんですよ」。── 選手と打ち解けるのは早かったようですね。

クラブ史上初のなでしこリーグ1部。前期は、私たちから見ても恐る恐るプレーする選手が見られました。立ち上がりの失点も多く、モチベーションを維持するのも大変だったと思います。そんな状況のなか、小嶺さんはミーティングを重ね、「消極的にプレーして負けるなら、チャレンジして負けたほうがすっきりしないか?」と選手に問い続けたそうです。

そして「失うものは何もない」、という覚悟。 ── それをピッチで表現したひとつが、伝統の4バックから3バックへのシステム変更だったのかもしれません。日体大のサッカーをよく知るファンの間では衝撃でした(笑)。「相手のFWを抑えきれない。しかし一方で、うちの攻撃にもいい選手がいる。だったら守備を固めるよりも、攻撃の枚数を増やそうと」。

その頃、セットプレーのバリエーションも増えました。「セットプレーはこちらに主導権があり、アイデアが一番出せる。一番工夫しました」。次第に、見ている私たちも選手の成長を感じるようになりました。たとえ負けても、何かしらの手応えを得て、次の試合を楽しみにしている選手が頼もしかったです。

小嶺さんも「ポジションに対する理解度が高まって、一試合重ねるごとに、『こいつ強くなったな 』 『うまくなったな 』 、って。チームとしても、守りに入るんじゃなく、強気に向かっていけるようになりました」と当時を振り返ります。社会人選手が6人いたことも大きかったようです。「社会人がしっかりとチームをまとめて、学生とのコミュニケーションをとってくれました」。

苦しいシーズン中、小嶺さん自身がどうやって気分転換していたのか尋ねると、「気分転換が下手なんです」と苦笑い。「切り替えられないままグランドに入ると、『小嶺さん、顔に出てる、出てる』って言われて。選手の前では表情に出すまいと思っていましたが、女の子は鋭い。びっくりするくらい分かりますね!」。

「気分転換の方法を教えて欲しい」と尋ねられたので、「わりと女性は美味しいものを食べると忘れます」と返し、小嶺さんが大好きだという「うどん」の話で盛り上がりました。

最後に小嶺さんは、「今シーズンは、選手のおかげで学ぶものがたくさんあった。選手に成長させてもらった」。── 選手の皆さん、これからもぜひ、成長している姿を小嶺さんに見せてあげてください。小嶺さんと一緒に、私たちも皆さんを応援しています。

2019年1月8日、日体大健志台グランドにて